チョコレート菓子の講習会に参加した。
チョコレートの安定結晶型とその変化の仕方、温度による収縮の違いを座学で学んだ。
テンパリングをするようになった当初、基本通りに45℃まで上げて完全に溶かした後、26℃に下げて、再び31℃にあげるといった基本に忠実にやっても失敗してブルームすることがあった。
シェフには「ちゃんと温度下げたのかよ?」とよく言われた。
今回の講習会で温度を下げることに意味がないことが分かった。
ケーキ屋のシェフは感覚でやっていることが多いので、やれと言われたことに対して「何で?」「なぜ?」は禁句だ。
そういう世界なのでそれに従っていた。
しかし感覚でやっていると基本通りにやっても失敗することがある。
だから失敗した時に「なぜ?」が必要で教訓として成長しないといけないのだが直感派のシェフには詳しい理論を説明している暇はない。
それに昔からずっと一人でお店をやってきたオーナーシェフとしての立ち位置もあるのでそれを尊重しないといけない。
よって自分で理論を学ばないとならない。
今回は、チョコレートの安定結晶についてどのようにテンパリングを取るか、そして使い分けについて学んだ。
そもそもテンパリングの取り方で、モールド成型ボンボン、トランペ用、ガナッシュ用、チョコ細工用などの使い分けができると言う考え方がすごい。
特にガナッシュと言うのは生クリームと合わせて乳化させればよいのでテンパリングなんかとらなくてもいいって大半のシェフが考えているが、きちんとテンパリングを取るといろんなメリットがあることがわかった。
とても有意義な勉強会で目からウロコだった。固定概念にとらわれない革新的な考え方で新しい発想を生み出す姿勢がとてもいい。
固定概念にとらわれていて革新的な提案や改善の提案をことごとく無視し、既得権益の死守しか考えないアホしかいない会社とは大違いだ。
時代が変わると、それに合わせてやり方を変える必要がある。
変化が大きいと、やり方も大きく変えないといけない。
なぜか?
取引先や顧客がやり方を変えるからそれに合わせないと必然的に取り残されて、顧客に見捨てられるからだ。
新しいシステム、やり方を導入するという事は、いつの時代も痛みを伴う事だ。
新しいことを学ばないといけないし、今さら勉強したくない、波風たてずに定年まで過ごしたいと考える老害も多い。
今回のチョコレートを扱う革新的な技術は経験があるシェフをも凌駕するもので過去の技術が簡単に陳腐化するものだった。
この事実は間違いがないが、別に昔ながらの技術をバカにしているわけではなく、新しい技術を取り入れるにしても今までのやり方や経験があってのことなわけだ。
そういうものに敬意を払うことも忘れてはならない。
その経験、やってきた積み重ねが新しい技術の発見や発想にも繋がるわけだから。
今回のチョコレート講習会で思ったのが、既得権益にこだわり、新しいやり方、革新的なシステム、顧客との新たなアプローチ方法等をことごとく却下する会社に対して未来がないという事だ。
自分で考えて自分でやるか若しくは同じ考えを持っている人といっしょに仕事をしていくかしか選択肢がない。
現状、ケーキ屋の開店は難しいが、夢を実現するためはサラリーマンではダメだ。
この答えのない選択をする時期に来ていることは確かだ…